カバでもわかる!個人事業主の開業完全ガイド【2022年最新版】
2022.09.22更新

これは、これから個人事業主になる人のための開業ガイドです。
ガイドの内容は以下の3項目に分かれています。
- 開業前に知っておくべきこと
- 開業前にやっておくべきこと
- 開業するときの手続き
↓↓クリックすると各項目のトップにジャンプします↓↓
画面右下に現れる をタップするとTOPに戻ってこれます。
↓↓それぞれの詳細は目次を参考にしてください↓↓
はじめに

こんにちは、開業アドバイザーのカバ山です。
「開業する」とひとことで言っても、状況は様々。
- 独立して開業
- 副業で開業
- 主婦業との兼業で開業
これらは結局「個人事業主になる」ということで一緒です。そして個人事業主になるためには考えなきゃいけないことがいっぱいあります。
何を知っておかなくちゃいけないのか…
何をやっておかなくちゃいけないのか…
開業するときには何をしなきゃいけないのか…
開業するときの悩み(答え)は、独立だろうが副業だろうがこれもまた一緒です。

副業で気をつけないといけないのは開業「後」の副業バレくらいだね。
じゃあ「個人事業主 開業」でスマホ検索しましょ!で解決はするはずなんですが…出てくるのは難しい言葉ばかり。
余計わからないという…
このガイドはタイトル通りバカ…否、「カバでもわかる開業ガイド」になっています。
だからといって入門編というわけではありません。開業に必要なことはしっかり網羅していますのでご安心ください。
このガイドをマスターしたとき、あなたは他の個人事業主の3歩先を行っていることでしょう。そしてなにより、開業後に足踏みすることなく事業に集中することができます。
このガイドでは、下記の3つにカテゴリー分けされています。
- 個人事業主になる前に知っておくべきこと9選
- 個人事業主になる前にやっておきべきこと13選
- 開業するときに必要な手続き
「カバでもわかる内容」とはいえ、読み応えは十分です。少しお時間をいただくことにもなりますので、このページはブックマークしておくことをオススメします。
あなたの開業をしっかりサポートいたします。
個人事業主になる前に知っておくべきこと9選

まずは「やる」。
開業しちゃう。
他のことは後から考えれば良い。
個人的にはその心意気は大好きなんですが、やっぱり最低限の知識は必要です。

私はあまり勉強せずに独立したんだ、だから開業後に覚えることがいっぱいで大変だったよ。
備えあれば憂いなしってことですね。
以下の内容が理解できれば、開業前の知識はバッチリ。
- 個人事業主とは何か
- 開業するメリット・デメリットは何か
- 独立にするのか、副業が良いのか
- 許可・認可・資格が必要か
- 開業資金の準備方法は。補助金・助成金とは何か
- 開業前の費用は経費になるのか
- 社会保険はどう変わるのか
- 青色申告とは何か
- インボイス制度とは何か
ここからはひとつずつ解説していきます。
1.個人事業主とは何か、フリーランスとの違いを知る
ズバリ、個人で事業を行えば個人事業主です。
まんまかよ!というツッコミが入りそうなのでもう少し詳しく解説します。
「個人」=法人じゃない、会社じゃないよってこと
「事業」=その仕事を「継続している・反復している」という非常にグレーな定義。
例えば、「フリマなどを行って単発で収入を得ている」というのは事業になりません。曖昧な表現になってしまいますが、コツコツちゃんと続けてるってことが大切なんですよ。

ちなみに事業してるんだったら赤ちゃんでもなれるよ。育児系のモデルとかもそう。
フリーランスとの違いは特になくて、フリーランスの中に個人事業主があるというイメージです。

フリーランスは開業しようがしまいが自由です。
そうは言ってもほぼ一緒なので、開業したときには「フリーランス」でも「個人事業主」でも好きに自称しちゃってください。
2.開業するメリットとデメリットを知る
もちろん開業を考えているのでしょうから、メリットはそれなりに理解していると思います。
まさか「周りが独立してるから」なんて理由じゃないでしょう?自分にとってどんなメリットがあるのか、自問自答すると良いでしょう。
主な開業メリットは以下のとおり。
- 稼げる
- 自分で単価のやり取りができるので、収入に制限がありません。
- 好きな時間に働ける
- 自分で働く時間を決めることができるので、いっぱい働いたり、休日を作ったりできます。
- 好きな会社と仕事ができる
- 取引先を選ぶことができるので、自分にとって得のない会社とは付き合わなくても大丈夫です。
- 経費が使える
- 事業のために使うお金を経費と言います。個人事業主は確定申告で「売上-経費=所得(課税所得)」を計算して、「所得(課税所得)」の部分に税金がかかってきます。なので経費が増えれば増えるほど、所得が減り、税金も減ります。
※使えば良いということではないのでご注意を。無駄使いしたら単純に手持ちのお金がなくなります。 - 定年がない
- 定年がないので、100歳まで働けます。
まとめると「全て自分で決めることができる」ということですね。
裏を返せば「責任は全て自分にある」とも言えます。このあたりは覚悟が必要ですね。

私は家族行事なんかは必ず休みをとるようにしてるよ。もちろん根回しは必要だけどね、急に休んで迷惑かけちゃうのは良くない。
次にデメリットです。厳しい内容になりますが、冷静に飲み込んでおかないと開業後に「こんなはずじゃなかった…」となりかねません。
デメリットは、頭のど真ん中に置いておくと良いですよ。個人事業主になる覚悟ですから。
主な内容は以下のとおりです。
- 収入がゼロになる可能性がある
- 仕事をしなければ収入はありませんし、お客さんがいなければこれまたゼロ。仕事はしたけど(取引先によっては)入金が2~3か月先というのもあります。
- お客さんを掴まえるのが大変
- 社会的な信用が低いため、はじめのうちは新規での顧客獲得が難しいです。
- ローンを組みづらい
- これも社会的信用が低いことが要因になりますが、住宅ローンやクレジットカードの審査が厳しくなります。
- 確定申告を自分で行う
- 自分で所得税など税金の計算をしなければいけません。今までは会社がやってくれていましたが、個人事業主になってからは「自分のことは自分で行う」必要があります。
デメリットは、メリットの裏返しとなるものに加えて社会的信用が低いなど「会社じゃない」ことがネックになることがあります。
はっきり言っちゃうと、「責任を負う」ことに胃がキリキリするようだと個人事業主には向いていないかも。
読んで字のごとく「事業の主(ぬし)」ですから。従業員を抱えたりすれば更に責任の重さは増していきますしね。

従業員を雇うってことは、従業員の生活に関わることだからね。「給与を払えません」なんてことにならないように気をつけよう。
事業をはじめる前にメリット・デメリットはしっかりと頭に入れておきましょう。
3.開業は「独立 or 副業」を考える
答えがあるものではありませんが、副業でスタートすることをオススメします。
理由は「失敗しても痛みが少ないから」です。
痛みの少ない失敗は、「また何度でも挑戦できる」ことにも繋がりますからね。
もちろん飲食店や美容室などの店舗経営を行ったり、建設業や清掃業など作業に多くの時間を使ったりする職業は片手間というわけにはいきません。独立開業を選ぶことになるでしょう。
いずれの道を選んだにせよ、「失敗したらジ・エンド…!!」とならないように小規模事業(スモールスタート)からコツコツ育てていけると良いですね。

焦らないこと。事業がギャンブルにならないように。
4.これから行う事業に許可・認可・資格が必要か調べる
「あなたはその事業をやっても良し!」というお墨付きを「許認可」といいます。
許認可は、事業の種類によって必要だったり不要だったりするので事前に調べておかないといけません。
バレたら営業停止や罰金といったペナルティが待っているので、くれぐれも注意が必要です。
これは許認可の一例です。
業種 | 許認可名 | 分類 | 窓口 |
---|---|---|---|
飲食(レストラン・バー等) | 飲食店営業許可 | 許可 | 保健所 |
飲食(キャバクラ・ホストクラブ等) | 風俗営業許可 | 許可 | 警察署 |
販売(お酒) | 酒類販売業免許 | 免許 | 税務署 |
販売(タバコ) | 製造たばこの小売販売業許可 | 許可 | JT |
販売(中古品) | 古物商許可 | 許可 | 警察署 |
美容院 | 美容所開設届出 | 届出 | 保健所 |
理髪店 | 理容所開設届出 | 届出 | 保健所 |
洗濯・クリーニング | クリーニング所開設届出 | 届出 | 保健所 |
︙ | ︙ | ︙ | ︙ |
他にも産業廃棄物を処理するための許可や、探偵をするときには探偵業の届出など業種によって様々な許認可が必要になります。
毛利小五郎も警察署に提出してるはずですよ。たぶん…
その他の業種はこちら→許認可等の確認を要する業種一覧表(三重県信用保証協会 / 外部リンク)

申請してすぐに「許認可」がおりるわけじゃないからね。余裕をもって各窓口に問い合わせよう。
そして、「許認可」とは別に「資格」が必要になることもあります。
必要な資格の一例を見てみましょう。
業種 | 必要な資格 |
---|---|
飲食業 | 食品衛生責任者 防火管理者(店舗規模によって必要) |
旅行業 | 旅行業務取扱管理者 |
理容・美容師 | 理容師免許 美容師免許 |
クリーニング業 | クリーニング師 |
整骨院 | 柔道整復師 |
鍼灸院 | 鍼灸師 |
︙ | ︙ |
実は資格というのは「法律的には必要ないもの」もたくさんあります。例えば調理師免許は実は要らないというもの。取引先が求めてくるパターンや、お客さんへのアピールとして取得しておくと良い資格もあるので状況次第という感じもしますけどね。
これからやっていく仕事に「どんな資格があるのか」「その資格は本当に必要か」調べておきましょう。
ちなみに探偵に資格はいりません。
5.開業資金の準備方法を知る、また国や自治体の補助金・助成金が出ないか調べる
まずは「自己資金で開業できるか」シミュレーションしておく必要があります。
大きく考えておきたいのはこの3つ。
- 設備資金
- 運転資金
- 当面の生活費

「設備資金」は店舗・車・機械・事務用品などの非消耗品を買うためのお金。
「運転資金」は広告費・交通費・消耗品などの事業を行っていくうえで必要なお金。
仕事をしてから入金までに2~3か月のタイムラグがある場合もあります、当面の生活費もしっかり計算しておきたいですね。
自己資金で足りないときは調達方法を考えよう
なるべく「自己資金」で開業したいところですが、店舗や機械など大きな費用がかかるときには、その他の資金調達を考えなければいけません。それも本当に必要な資金のみ、です。
色々な方法が考えられますが、主な調達方法は以下の5つ。
- 家族・知人から借りる
- 融通がきくという点では、いちばん楽な方法です。お互いに「お金の貸し借りをしている」というストレスが生まれます。
- クラウドファンディング
- 資金を集めるハードルは低め。出資者が納得する事業内容を示せるか、心を揺さぶるストーリー作りが必要になります。
- 公庫融資
- 日本政策金融公庫という政府からお金を融資してもらえる金融機関があります。金利が低く、担保も保証人も不要ですが、審査が厳しく事業計画書など多くの資料が必要です。
- 銀行・信用金庫からの融資
- 公庫融資と比べると金利は高め。個人事業主だと信用金庫の方が審査は通りやすい。
- 銀行ローン
- 金利高め。返済が大変なので初期投資としてはオススメしない。
金利によって支払額は大きく変わります。「月々〇〇万円返済しなきゃいけない」よりも「トータルで〇〇〇万円返済しなきゃいけない」という数字を事前にわかっておくと良いでしょう。
補助金や助成金をもらえないか確認しよう
国や自治体がさまざまな形でお金をサポートしてくれます。しかも返済不要。
ただし「最初の資金調達」という意味では使えません。
まずは必要経費を自分で払うんです。
その経費を「補助してください。助成してください。」とお願いして、OKが出たら、お金がもらえる仕組み。(補助金・助成金の種類によって条件が違う)
厳密には、自分で払う前に計画書などの細かい資料を用意して、何のために補助金・助成金をもらうのかを明らかにしないとダメですけどね。これがけっこう面倒。しかも助成金は条件を満たしていればお金がもらえますけど、補助金は100%審査に通るわけじゃないのでハードルが高めです。
これは開業に関係する補助金の一例です。
- 創業補助金
- 「起業がんばれ!」という応援型の支援です。地域ごとに制度名や補助額が変わるので各自治体HPをチェックしましょう。
創業者向け補助金・給付金(都道府県別)(中小企業ビジネス支援サイトJ-Net21 – 外部リンク) - 地方創生企業支援金
- 東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)以外で開業するときに支援してくれます。
地方創生・起業支援金(内閣官房・内閣府総合サイト – 外部リンク) - 小規模事業者持続化補助金
- ホームページやチラシなどを作って「お客さんを増やしていこう!」という取り組みに対して援助してくれます。
小規模事業者持続化補助金(一般型)(全国商工会連合会 – 外部リンク)
その他、「起業・創業」に関する補助金はこちら「経済産業省ミラサポplus」(外部リンク)

ちょっとめんどうだけどね。返済不要のもらえるお金だから該当するなら申請した方がいいよ。
事業のさまざまな取り組みを支援してくれる補助金に対して、助成金はさまざまな雇用を支援してくれます。
開業に関する助成金の一例はこちら
- 人材開発支援助成金
- 従業員を訓練(パワーアップ)させるための取り組みをした事業者を支援してくれます。訓練法はその内容によってコース分けされています。
人材開発支援助成金(厚生労働省ホームページ) - 両立支援等助成金
- 従業員が、「仕事と育児」「仕事と介護」など家庭生活と両立できるような取り組みをした事業者を支援してくれます。
両立支援等助成金(厚生労働省ホームページ) - トライアル雇用助成金
- 「離職・転職が多い」「1年以上働いていない」「日雇い労働」など、安定していない求職者を雇用したときに支援してくれます。
トライアル雇用助成金(厚生労働省ホームページ)
その他の助成金はこちら「雇用関係助成金検索ツール(厚生労働省ホームページ)」
開業する前に「何か使える補助金はないかな?」「そういえば従業員雇うけど助成金は出るのかな?」と考えてみて、もしあれば是非とも活用することをオススメします。
6.開業準備にかかるお金が経費になることを知る
事業の準備に使ったお金は経費になります。
正確にいうと、そのお金は(一部をのぞき)まとめて「開業費」という名前で「資産」という形になるんです。この時点では経費にならないので「開業費償却」という形で経費にしてあげるという流れになります。
※償却(しょうきゃく)…毎年少しずつ経費にできること。

償却は、好きなときに好きな金額(開業費の範囲内)を経費にできます。なので開業した年に売上が少なかったら経費にするのはやめて翌年以降、売上が上がった年の節税対策として使うと効果的ですよ。
流れの部分はざっくり理解してもらうとして、「開業前の費用って経費にできるんだ、じゃあ領収書は取っておかなきゃダメだよね」と思っていればそれでOKです。
開業費として扱われない費用は以下のとおり。
- 10万円以上するもの
- 固定資産になります。買ったモノによって耐用年数というものがあるので、その年数で分けて費用にしていきます。
- 販売するために仕入れたもの、その材料
- 売上原価になります。商品が売れてようやく費用になるものです。
- 敷金・礼金
- 敷金はそもそも戻ってくるお金なので費用になりません。礼金は開業費ではなく「支払い手数料など」の形で費用になります。
ちなみに「事業の準備のため」なら何年さかのぼっても「開業費」にできます。
開業は3年後…と考えていても領収書はとっておきたいですね。
7.健康保険・年金はどう継続されるのか、雇用保険・労災保険はどうなるのかを知る
個人事業主と会社員の違いで、よく間違われるのが社会保険に「入っている or 入っていない」問題。これって実は「個人事業主になると社会保険の内容が変わる」のであって社会保険には常に「入っています」。
ではどう変わっていくのでしょうか。
まず社会保険には以下の5つがあること、そして会社員との違いは何なのかを知っておくと良いですね。
- 健康保険・・・病気やケガに対する保険
- 年金保険・・・老齢や障害に対する保険
- 介護保険・・・高齢時、介護が必要になったときに使える保険
- 雇用保険・・・失業保険や育児休業給付など雇用の安定を支える保険
- 労災保険・・・仕事が原因で負った病気やケガに対する保険
それぞれ会社員との違いはこちら。
社会保険の内容 | 会社員 | 個人事業主 | 個人事業主になるとどうなるのか |
---|---|---|---|
健康保険 | 健康保険 | ※1.国民健康保険 | 傷病手当金などがなくなる |
年金保険 | 厚生年金 | 国民年金 | 年金の支給額が減る |
介護保険 | 40歳以降は義務 | 40歳以降は義務 | ー |
雇用保険 | 加入 | 加入できない | 失業手当や育児休業手当などがなくなる |
労災保険 | 加入 | ※2.加入できない | 仕事で負った病気やケガは自己負担 |
※1.(健康保険)会社員から個人事業主になるときには3つの方法を選ぶことができます。
- 退職後14日以内に、役所で「国民健康保険」への切り替え手続きをする
- 退職後20日以内に、加入している健康保険に申請すれば最長2年間は会社員のときと同じ健康保険が使えます(任意継続)気をつけたいのは保険料が「会社との折半→全額負担」になることです。
- あなたの収入が130万円以下なら、扶養家族として家族・配偶者の健康保険に加入することができます。
※2.(労災保険)基本的に事業主は加入できませんが、「労働者と同じような働き方をしているよね、だったら労災は必要だよね」という考えのもと「特別加入」という形で任意加入することができます。
以下、特別加入できる人たちです。
- 中小事業主等・・・特別加入制度のしおり(中小事業主等用)(厚生労働省ホームページ)
- 一人親方等・・・特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)(厚生労働省ホームページ)
- 特定作業従事者・・・特別加入制度のしおり(特定作業従事者用)(厚生労働省ホームページ)
- 海外派遣者・・・特別加入制度のしおり(海外派遣者用)(厚生労働省ホームページ)
このように個人事業主になると加入できないものもあったり、補償の内容が薄くなったりします。
年金は付加年金やiDeCoなど、ケガや病気は民間の保険を使うなど必要に応じてプラスアルファの対策が必要になるかもしれません。生活に響いてくる問題なのでちゃんと考えておきましょう。

ちなみに副業だと「会社で入ってる社会保険」になるよ。保険料の計算も「会社員の給与のみ」に対してだから、副業収入があるからといって保険料が増えることはないよ。
8.青色申告のメリットを知る
個人事業主になると、自分で確定申告を行います。確定申告には大きくわけて「白色申告」と「青色申告」の2つがあります。

白色申告は「簡易簿記」といって帳簿付けが簡単なんですがメリットは、ほぼゼロ。(2013年末までは帳簿付けが義務ではなかったので、それがメリットだったんですけどね。義務付けされた今ではメリットはなくなったと言っても良いでしょう。)
では青色申告は?
青色申告にはメリットがたくさんあります。ズバリ、「個人事業主の代表的な節税といえば青色申告」ですからね。
青色申告のメリットをはこちら。
- 青色申告特別控除(あおいろしんこくとくべつこうじょ)
- 無条件で所得控除が使える。帳簿の付け方で10万円 or 55万円(電子申請をすることで65万円)を選ぶことができる。55万円がオススメ。
- 青色事業専従者給与(あおいろじぎょうせんじゅうしゃきゅうよ)
- 専従者(生計を一にする15歳以上の家族・親族従業員)の給与を全額経費にできる制度。
- 純損失の繰り越し・繰り戻し(じゅんそんしつのくりこし・くりもどし)
- 赤字を最大3年間繰り越したり、前年の黒字と相殺して所得税の還付を受けたりできる。(繰り戻し)
- 貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)
- 期末(12月31日)の時点で未回収のお金(売掛金など)の一部を経費にできる。
- 少額減価償却資産の特例(しょうがくげんかしょうきゃくしさんのとくれい)
- 30万円未満の備品を一括で経費にできる。白色申告だと10万円まで。
- 家事関連費
- 仕事とプライベートで共有している費用の一部を経費にできます。白色申告もできますが、その基準が厳しめ。
青色申告にするには「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければいけません。「開業届を提出していること」が申請書提出の条件なので、開業するときには一緒に提出するのがオススメです。
9.インボイス制度(適格請求書等保存方式)の概要を知る
2023年10月1日からスタートする制度。
「適格請求書(国から認められた請求書)じゃないと仕入税額控除が使えない」という制度です。
※仕入税額控除とは、売上の消費税から経費の消費税を差し引けるということ。

上の図でいうと「払った消費税」というのが、そのまま「仕入税額控除」に当てはまります。
めっちゃややここしい制度なのに、めっちゃ(今までより)損をする可能性がある制度です。がんばって覚えましょう。
覚えておきたいのは2つの事業者。
- 課税事業者(消費税を納めている事業者)
- 免税事業者(消費税を納めなくても良い事業者 / 年収1,000万円以下)
これまで課税事業者は免税事業者との取引で支払っていた消費税を「仕入税額控除」として売上の消費税から差し引くことができました。請求書も普通の請求書でOK。

インボイス制度からは、適格請求書じゃないと仕入税額控除が使えないということを述べましたが、この適格請求書は「課税事業者にならないと発行できない」んです。

開業したばかりで年収1,000万円超える人はそうそういません。なので免税事業者の恩恵を受けて消費税を納めないようにしたい…
ですが適格請求書は課税事業者(消費税を払う)じゃないと発行できない。
適格請求書を発行できないと、課税事業者とのお付き合いが難しくなるでしょう。インボイス制度において、課税事業者は免税事業者と取引をするメリットがありませんからね。絶対に取引できないわけではありませんが、課税事業者が何らかの損(お金か手間か)を被ることになるのは覚えておくと良いでしょう。

免税事業者のままでも損をしないのは、一般のお客さんに商品を売る場合だね。自分がお金をもらうのは誰からなのか、理解した上でインボイス制度に臨もう。
それにしてもめんどくさい制度…
インボイス制度が始まる2023年10月1日から適格請求書を発行するためには2023年3月1日までに税務署で申請しましょう。
申請用紙はこちら→適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)(PDFファイル/436KB)
個人事業主になる前にやっておくべきこと13選

開業したあとは事業に集中したいものです。
当たり前っちゃ当たり前ですよね、できることなら早く成功したいと思うでしょう。
なので「やれることは事前にやっておく」、これです。せっかく開業したのに、準備で時間を使ってしまうのは非常にもったいない。
「そうはいっても、やれることって何なのよ」って話で、その具体的な内容をこれから示していきます。
ここから先は開業する前にやるべきこと・やったほうがいいことをまとめました。開業後のスタートダッシュをサポートするものばかりです。
内容はこちら。
- 家族への報告
- 店舗・事務所を探す
- クレジットカードを作る
- 印鑑を作る
- 名刺を作る
- パソコン・インターネットの環境を作る
- 会計ソフトを準備する
- オフィス・事務用品等を揃える
- 仕事用の車を準備する
- ホームページ制作
- 取引先へのあいさつ
- 屋号を作る
- (番外編)住宅ローンなど
ひとつずつ見ていきましょう。
1.家族へ開業することを報告する
「仕事をする」
これができるのも家族のサポートがあってこそ。
ならばまっさきに行うのは家族へ「開業する」と伝えることです。
とくに個人事業主は「収入が不安定」です。事前に「どういう仕事なのか」「いくらぐらいの収益を見込めるのか、その根拠は」「開業のメリット・デメリットは」「どうやって事業を進めていくつもりなのか」「失敗したときに生活はどうなるのか」など細かい部分まで情報を共有しておくと良いでしょう。
理解があればこそのサポートですからね。「何も相談しない」ことで、家族が不安を感じるようなことは避けるべきです。
私生活の円満・潤いは仕事へのモチベーションに繋がるだけじゃなく、ごくごく単純な「幸せ」に直結するものです。ならば開業しかりコミュニケーションは常にとってきましょう。

余計なお世話かもね、けどこの考えは私の根幹だからどうしても言っておきたいんだ
2.事業の拠点となる店舗・事務所を探す
「何のため」にその場所が必要なのでしょうか。
自宅でできる仕事に事務所が必要でしょうか、事務所が必要だとしてもバーチャルオフィスで事足りるかもしれません。作業場所・打ち合わせ場所にはコワーキングスペースやシェアオフィスがあります。飲食店だとしても大きな店舗をかまえる理由・根拠があるのでしょうか。
開業するときに「イニシャルコスト(初期費用)は小さくする」よう心がけると良いでしょう。規模を大きくするのは事業の成長と共にすれば良いことです。怖いのは「再起できない失敗をすること」ですから。

また上の図のようにイニシャルコストをかければかけるほど赤字スタートになり、黒字回復まで相当の期間を必要とすることになるでしょう。
さらに家賃・管理費・水道光熱費など、「ひと月にいくらかかるのか」から「年にいくらかかるのか」まで算出しておきましょう。大まかな数字でかまいません。「固定費」のコストを理解しておくことがとっても大切です。
少々厳しい言い方にはなってしまいましたが、以上のことを踏まえて事業の拠点を探してほしいと思います。
以下、主な仕事場の概要です。ご参考までに。
- 自宅
- 住まい(またはその一部)が仕事場になる。イニシャルコストがほぼない。プライベートとの境があいまい。
- 店舗
- 賃貸店舗物件を契約・使用する。イニシャルコスト&ランニングコストは高い。居抜き物件がオススメ。
- 事務所
- 賃貸事務所等を契約・使用する。打ち合わせや接客がしやすいが、イニシャルコスト&ランニングコストがかかる。
- バーチャルオフィス
- 実際に作業を行う場所ではない「仮想事務所」。「オフィス機能」をレンタルする。住所・電話番号の貸出、郵送物の転送などが使える。月額費用がかかる。
- シェアオフィス
- 複数の人や企業で仕事場を共有する。個室あり。オフィス家具・電話・インターネット回線などの設備がある。月額・日額・時間貸の料金がかかる。
- コワーキングスペース
- 複数の人や企業で仕事場を共有する。個室なし。オフィス家具・電話・インターネット回線などの設備がある。月額・日額・時間貸の料金がかかる。
- 貸倉庫・トランクルーム
- 賃貸倉庫・トランクルームを契約・使用する。在庫・道具類を保管できる。月額費用がかかる。
≫トランクルームの選び方はこちら
3.事業用のクレジットカードを持つ
個人用のクレジットカードでOKです。すでに2枚以上持っているなら、どれか1枚を「事業用」として分けておくと良いでしょう。
事業の経費を管理するのにクレジットカードはとっても便利です。
オンライン管理画面で使用履歴が見れるので「何にいくら使ったのか」ひと目でわかります。さらに後述する「会計ソフト」と連携することで、自動で明細が取り込まれるので、手動で入力する手間が省けるのは大きなメリットです。
クレジットカードを利用するためにはカード会社の審査があります。
残念ながら、審査に通りやすいのは「安定した収入の会社員」であって、「不安定な収入の個人事業主」は審査に通りにくいケースがあります。
クレジットカードは開業前に審査を通して持っておくほうが良いでしょう。
オススメは年会費無料のカード。注意点として「リボ払い」「キャッシング」の利用は基本的に避けましょう。場合によってはいつまでも終わらない「返済地獄」に陥る可能性があります。これ本当に気をつけてください。

機械設備や車など大きい買い物をするときは「分割」にするときもあるだろうけど、返済計画はちゃんと立てておこうね。
4.印鑑(実印・銀行印・電子印鑑)の作成
世の中は脱ハンコ時代。
行政でも「認印の全廃」がニュースになって久しい感じがしますね。(2021年4月に廃止)今後ハンコ(印鑑)という存在が無くなる日が来るんでしょうか。個人的にはサインで良いと思っていますけど。
さて、それでも印鑑は結局必要なわけで…個人事業主にとって必要な印鑑の話をしましょう。
結論からいうとこの2つさえあれば大丈夫。
- 実印
- 銀行印(ネット銀行を利用する場合は不要)
ぶっちゃけ「実印&銀行印」以外は、法律的に効力あるわけじゃないんですよね、「箔が付く」ぐらいのイメージなんですが…その「箔」を欲しがる取引先が多いというのは知っておきましょう。
取引先に「角印」や「認印」を求められたときのために準備しておくと良いかもしれません。「認印」は100均一で大丈夫。「角印」は現物&電子印鑑で持っておくと使い勝手が良いですよ。
以下、印鑑の種類・電子印鑑化の可否・個人事業主としての要否をまとめました。
印鑑の種類 | サンプル | 電子印鑑 | 要否 | 概要 |
---|---|---|---|---|
実印 | ![]() | できない | 必要 | 市区町村に登録した公的な印鑑 |
銀行印 | ![]() | できない | 必要 | 銀行や信用金庫などの金融機関に登録した印鑑 |
丸印 | ![]() | できる | 不要 | 代表者印と呼ばれる。法人の実印 |
角印 | ![]() | できる | あってもいい | ビジネス文書(請求書や領収書等)の確認用 |
認印 | ![]() | できる | あってもいい | 確認用。サインと一緒。 |
ゴム印 | ![]() | 不要 | あってもいい |

私は建設業なんだけど、未だに丸印・角印なんかは「押して」って言われるね。メールでPDF等でやり取りする場合なんかは電子印鑑がとても使い勝手良いよ。印刷しなくて良いしね。
5.営業用の名刺を作る
オンラインでのやり取りならともかく、取引先や顧客に「はじめまして」のあいさつをするときに名刺は必要です。
手のひらサイズの紙一枚で身分を明らかにできるわけですから、便利なアイテムですよね。話のとっかかりとしても十分です。
名刺に最低限必要な項目は以下のとおり。
- 屋号(ビジネス用の名前、「〇〇商店」など)
- 氏名(役職として「代表」をつけると格好いい)
- 事業地の住所
- 連絡先(電話・メール・FAXなど)

連絡先をLINEにするのもOKです。屋号&名前以外の情報をQRコード化して貼り付ける方もいますね。アピールの仕方は人それぞれなので、印象に残る名刺を作ってみましょう。
6.パソコン・インターネットの環境を整える
日常業務はスマホだけでやり取りができても、会計業務やタスク管理、確定申告などを考えるとパソコンは必須です。
プライベート用のパソコンで事足りるのであればそれでかまいません。パソコンをメインに使う仕事でもない限りは兼用で問題ないでしょう。
パソコンを持っていないという人は、以下のスペックのものを探せばOKです。(アニメーターや動画編集者など一部の職種は除く)
スペック | なぜ? | |
---|---|---|
型 | ノート | 持ち運びやすい |
CPUスコア | 10,000以上 | さくさく動く |
メモリ | 8GB | さくさく動く |
内部ストレージ | SSD(256GB以上) | さくさく動く |
office | なし | Googleに同等のサービスがある |
光学ドライブ (CDやDVD等のディスクを読み取る装置) | なし | 必要なら外付けで良い |
色や大きさは好みでOK。必要に応じて外付けのアクセサリーを揃えましょう。

取引などのデータはUSBメモリに保存すると管理しやすいよ。
次にパソコンをインターネットに繋げる必要があります。取引先とのやり取りをメール等データで行う場合には必須です。
繋ぎ方ですが、お使いのスマホのデータ利用料に余裕があればテザリングを試してみてください。問題なければ初期費用を抑えることができます。
※テザリングとは、スマホを親機・パソコンを子機とすることでスマホのネット回線を共有することです。
スマホの通信容量が足らないようでしたら以下の表を参考にインターネット回線を選びましょう。
インターネット回線 | 料金 | 通信速度 | 通信制限 | 持ち運び | 開通工事 |
---|---|---|---|---|---|
光回線 | ¥3,000~5,000程度 | 速い | 無制限 | できない | 必要 |
ホームルーター | ¥3,000~5,000程度 | 普通 | 無制限(通信制限あり) | できない | 不要 |
ポケットWi-Fi | ¥3,000~5,000程度 | 普通 | 無制限(通信制限あり) | できる | 不要 |
テザリング | スマホの料金 | やや遅い | スマホに準ずる | できる | 不要 |
オススメは光回線です。通信が早いのでストレスがありません。インターネット接続が遅いって…けっこうストレスたまりません?そう思うのであれば光回線一択でしょう。
お住まいの地域によっては光回線が使えなかったり、建物によっては光回線の種類が限定されたりします。
7.業務管理・確定申告のために会計ソフトを使う
個人事業主は確定申告を自分で行います。そのためには日々の業務で帳簿を付けることになります。
つまり必要なのは簿記の知識。
簿記を覚えるだけでも大変なことなのに、さらに帳簿付けを手書きやExcelなどで記入してまとめる。想像するだけでも無理ゲーだと思いませんか?

簿記知らない、経理やったことない人はマジで無理。
そんな無理ゲーを攻略してくれるアイテムが「会計ソフト」です。
事業者の情報・入出金の情報(数字)を入力すると帳簿から決算書、確定申告まで自動で作ってくれるので初心者でも簡単に使えます。クレジットカードと連携できるソフトだと入力する手間も省けますからね、めちゃくちゃ便利。
オススメの選び方は以下のとおり。
- クラウド型(インターネットが使える環境が必要)
- 年額15,000円以下
- 無料お試し期間あり
- メール・チャットサポートあり
- 電子帳簿保存法対応
まずは無料お試しで実際にさわってみると良いですよ。ソフトによって使い勝手も違いますからね、複数のソフトを試してみるのがオススメです。
8.オフィス・事務用品等を揃える
理想をいえば「ペーパーレス化」したいところです。
取引がすべてメールかチャットのみで収まるのであれば、パソコンで注文書や請求書などを管理できますからね。持っておきたいアイテムは「USBメモリ」ぐらいです。(Googleドライブやdropboxなどのクラウドストレージ管理でも良い)
ですが、まだまだ紙による取引を行っている会社はいっぱいあります。取引先がどんな方法で取引を行っているのか前もって確認しておきましょう。
取引先次第ですが、以下の備品があると便利です。
- プリンター
- FAX(オススメはインターネットFAX)

仕事場に電話回線を引いてないならインターネットFAXの方が楽で便利。
その他、必要に応じて棚や机、消耗品などを揃えておくと良いでしょう。ただし開業後すぐに必要になるものだけで大丈夫です。イニシャルコスト(初期費用)はなるべく抑えましょう。
9.営業・販売等に使う車を用意する
職種によっては車が必要ですが「お金のかけ方」だけは間違えないでほしいですね。
「運転」が仕事でしたら、体への負担を減らせるようなオプションにお金をかけても良いと思いますし、「移動のみ」が目的でしたら、手ごろな中古車で良いでしょう。
業務上「適当」な車を選ぶことが望ましいですね。

そのこだわりの車は価値以上の収益を生み出すのかな?ってこと。
下記に経費に関しての情報を記します。車を選ぶ時の目安にもなるでしょう。
- 30万円以下なら一括で経費にできる(青色申告のみ)
- 普通自動車(新車)は6年に分けて経費にできる(減価償却)
- 軽自動車(新車)は4年に分けて経費にできる(減価償却)
- 中古車は「耐用年数(6または4年)×20%」、「耐用年数-経過年数(耐用年数まで使っていない場合)×20%」で算出された数の年にわけて経費にできる(端数は切り捨て。2以下になったときは「2年」とみなす)
- カーリースやカーシェアリングは、その支払い毎に全額経費
- ローンは利息のみ経費にできる。元本は上記の(減価償却)と同じ仕組み
10.集客の要、ウェブサイト・ホームページを作る
個人事業主は、一人ではもちろんのこと、従業員を雇っても事業に直接携わる(現場で作業をする)ことが多いです。どかっと椅子にふんぞり返って指示だけ出している人はほとんどいないでしょう。
つまり営業にかける時間が少ないということ。仲介のように営業を主にしている場合もありますけどね。
ここで自分の代わりに営業をしてくれるのがウェブサイトであり、ホームページなのです。
ホームページを持つメリットはこちら。
- 新規営業
- 年中無休
- 信頼性に繋がる
- 資産となり、名刺となる
- 新規顧客獲得のチャンスが生まれます。「会ったことがない誰か」があなたに仕事の依頼をしてくるかもしれません。
- あなたが寝ている時間、休んでいる時間、プライベートな時間でもホームページは見ることができます。つまり営業をし続けているのです。
- どこの馬の骨かもわからない人に仕事を依頼しませんよね?素性を明らかにすることで信頼が生まれ、仕事の依頼に繋がりやすくなります。
- 実績をホームページに載せることであなたにとっての資産になりますし、自分の仕事を紹介する上での名刺代わりになります。
作成方法は「自作」か「外注」です。
外注だと10万~100万円と、まさにピンキリ。ネット検索すればホームページを作ってくれるところは山ほど出てきます。安く作りたいのであればクラウドソーシングサービスなどを活用するのも良いでしょう。
コストを抑えたいのであれば「自作」がオススメです。私がこうやって情報発信しているように。初期費用3万円もあればそれなりのサイトが作れますよ。

この開業ガイドを開設したときの初期費用は2万円いかなかったよ(\18,300)
「自作」でホームページを作るには、サーバーとドメインが必要になります。下の図をご覧ください。

レンタルサーバー等で土地(サーバー)と住所(ドメイン)を用意します。
事業が成長したら同じ住所のまま外注してパワーアップすることもできるので、まずは自作で挑戦してみることをオススメします。セールスライティング(モノを売るための文章)など営業スキルの向上にも繋がりますよ。
11.開業することを取引先・顧客に報告する
開業後にお世話になりそうな人、仲の良い同僚、友人などには開業することを伝えましょう。嫌いな人、お世話になりたくない人には伝えなくてもOKです。せっかく個人事業主として自由に仕事をするのだからストレスからは距離を置きましょう。

どうしても付き合わなきゃいけない人なんかは接点を減らすとかね。
コロナ禍なので会って話すことには慎重にならないといけませんが、会える人とは食事でもしながら、あらためて親睦を深めていくのも良いかもしれませんね。
12.ビジネス上の名前、屋号をつける
屋号とはビジネス上(商売上)の名前です。
絶対に付けなきゃいけないわけではありませんが、あると便利です。
屋号をつけるメリットはこちら。
- 屋号付き銀行口座(ビジネス口座)を作れる
- 信頼・信用が増す
私たちが個人名よりも会社名のほうに安心感を覚えるように、屋号にも安心感があります。
営業もしやすいですしね、「〇〇(屋号)の▲▲です。」というビジネステンプレートが使えると商談にも持っていきやすいです。
振込先にしても、個人名に振り込むよりも屋号が付いていたほうが変に不安を感じることもないでしょう。
屋号を付けるときは以下のことに注意してください。
- 「会社」「法人」など会社を連想させるワードはNG
- 「co.」「inc.」も同じ
- 「銀行」「保険」などは、その事業を行っていないとダメ
- 商号登記されているワードは避ける(国税庁法人番号公表サイトでチェック)
- 商標登録されているワードも避ける(特許情報プラットフォームでチェック)

自分で言ってて恥ずかしくないか、も意外と大事
13.(番外編)住宅ローン・カーローン
個人事業主は社会的信用の低さからローンの審査に通りにくくなります。金額が大きくなればなるほどその傾向は強くなります。住宅ローンやカーローンはその代表的な例です。
正直言って、開業前に借金しないでほしいと心の底から思っていますが、「どうしても買いたい」なら開業前、会社員でいる内に買ってしまうほうが良いでしょう。
オススメはしません。
開業するときに必要な手続き
準備が終われば、いよいよ開業です。
今一度、「個人事業主になる前に知ってくべきこと」と「個人事業主になる前にやるべきこと」を確認しましょう。※リンクをクリックすると新しいタブで開きます。
準備ができたら、開業届などの開業書類を税務署に提出します。
開業するときに必要な書類はこちら。
- 開業届
- 開業して1ヵ月以内に提出しなければいけない書類
≫開業届の内容・書き方はこちら - 青色申告承認申請書
- 青色申告にする場合は、開業から2ヵ月以内提出しなければいけない書類
たくさんの節税メリットがある
≫青白申告承認申請書の内容・書き方はこちら
≫青色申告について詳しく知りたい人はこちら。 - 青色事業専従者給与に関する届出書
- 専従者の給与を青色専従者給与にしたいときに提出する書類。専従者が働き始めてから2ヵ月以内に提出
青色専従者給与にすると、支払った給与は全額経費になる
※専従者とは、生活費の財布が一緒で15歳以上の家族(親族)従業員のこと
≫青色事業専従者給与に関する届出書の内容・書き方はこちら - 給与支払事務所等の開設届出書
- 従業員に給与を支払うことになってから1ヵ月以内に提出する書類(専従者も含む)
≫給与支払事務所等の開設届出書の内容・書き方はこちら - 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書
- 源泉徴収した所得税を「月1回→年2回の納税」へと変更したいときに提出する書類(納税額は変わらない)
≫源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書の内容・書き方はこちら
個人事業主にとって「青色申告にすること」はメリットしかないです。唯一のデメリットは難しいことですがそれも会計ソフトが解決してくれます。
よく言われるのが、「売上がないから青色申告にしない」ってやつ。これ視野が狭いです。
青色申告は赤字を最大3年間繰り越すこともできるので、長期的目線で事業を見ることができると良いですね。
以下の表はあなたの「開業時の状況」に応じて必要な書類がわかるようになっています。
開業時の状況 | 開業届 | 青色申告承認申請書 | 青色事業専従者給与に関する届出 | 給与支払事務所等の届出書 | 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書 |
---|---|---|---|---|---|
あなた(1人)のみ | 必要 | 要 | |||
あなた+専従者(家族の従業員) | 必要 | 要 | 要 | 必要 | 要 |
あなた+従業員(家族以外) | 必要 | 要 | 必要 | 要 | |
あなた+専従者+従業員 | 必要 | 要 | 要 | 必要 | 要 |
「開業届」はどんな状況でも提出する義務があります。従業員を雇ったら「給与支払事務所等の届出書」も義務になります、青色申告にしなくても提出しなきゃいけないので気をつけましょう。
まとめ~開業は一大決心!その挑戦を応援します
個人事業主の開業ガイドは以上になります。
あらためて、このガイドの内容はこちら。
個人事業主になる前に知っておくべきこと←リンクをクリックするとカテゴリーのトップに移動します。
- 個人事業主とは何か
- 開業するメリット・デメリットは何か
- 独立にするのか、副業が良いのか
- 許可・認可・資格が必要か
- 開業資金の準備方法は。補助金・助成金とは何か
- 開業前の費用は経費になるのか
- 社会保険はどう変わるのか
- 青色申告とは何か
- インボイス制度とは何か
- 家族への報告
- 店舗・事務所を探す
- クレジットカードを作る
- 印鑑を作る
- 名刺を作る
- パソコン・インターネットの環境を作る
- 会計ソフトを準備する
- オフィス・事務用品等を揃える
- 仕事用の車を準備する
- ホームページ制作
- 取引先へのあいさつ
- 屋号を作る
- (番外編)住宅ローンなど
開業するときに必要な手続き(従業員の有無等によって異なる)←リンクをクリックするとカテゴリーのトップに移動します。
- 開業届の提出
- 青色申告承認申請書の提出
- 青色事業専従者給与に関する届出書の提出
- 給与支払事務所等の開設届出書の提出
- 源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書の提出
開業するっていうのは一大決心ですよね。
たとえそれが副業だとしても「事業を営む」ということはすごい挑戦だと思います。
私の場合は、勤めていた防水会社から独立する形で開業したんですが、あまり深く考えてなかったんですよ。
とりあえず「稼ぎたい」「会社が嫌い、離れたい」という感情だけで開業しました。勤めていた会社が仕事を振ってくれるということだったので迷いはありませんでしたし。嫌いなのに一緒に仕事するんかい、って感じですけどね。
結果、一つの会社からただただ仕事をもらってこなすだけの日々。いや年月。事業としての成長はありませんでした。
それもそのはず、何の知識もないんですから。
個人事業主が何かもよくわかっていないし、どんな働き方があるのかもしらない、国の制度なんて学ぶ気もないというダメっぷり。青色申告だって開業届出すときに税務職員だったかな?「やっておいたほうがいいよ~」とアドバイスもらって「は~い」の二つ返事。なんも考えてませんでした。
前の会社からの「仕事が途切れない」ことも大きかったと思います。その上であぐらかいちゃって…。お恥ずかしい。
だからその会社と揉めて仕事がゼロになったときはキツかったです。「あ、こんな簡単に仕事ってなくなるんだ…」って。家族もいましたし、精神的にボロボロになってましたね。
そこからコツコツと新規にお客さんを増やしていき、従業員ゼロの一人親方で年収1,000万円を稼ぐようにはなりましたが、この期間でやっと事業のこと、様々な制度のことなどを学び始めました。
そして思ったのは「開業前に知識は必要」ということ。
メリットやデメリット、青色申告、開業費用のこと、クレカや会計ソフトなど必要なものや、それらを買う心構え、今だとインボイス制度も知っておかないと絶対に損をしますしね。
このバカ…じゃなかった「カバでもわかる開業ガイド」は、開業前の私に読ませたかったものです。そしてこの内容はあなたの開業を、開業後のスタートを明るく導くガイドになることでしょう。
そしてこのガイドが役に立ちましたら、その知識を次の挑戦者に繋いでください。
私は事業に挑戦する全ての人を応援します。
カバですが…

最後まで読んでくれて、どうもありがとう